【行政書士試験】試験時における細かい話


 長々続けてきた、行政書士試験攻略シーズン1も、ひとまず今回で最終回。

最終回にあたっては、問題そのものの攻略ではなく、マークを塗るタイミングや、選択肢を

消すときの話など、試験攻略そのものではないが、ルーティン化しておくことで、時間効率の

変わる話です。

 まだ、何回か練習問題を解く機会があるなら、この辺をしっかり固めて、本番では機械的に

この作業をできるようにしておくと、試験時間を効率よく使えるようになります。

1 筆記用具・腕時計

 何をいまさらな話ですが、もしかすると、当ページで初めてそんな話に触れる方が、万が一いらっしゃる可能性もあるので、まあ念のため。

● HB または B の 先をやや丸くした鉛筆数本

● マークの消し跡が黒く残らない 消しゴム 2個

● 腕時計

● 鉛筆を使っていれば 鉛筆削り器削りカスを中に溜められるもの)

まあ、まずはこんなところ。では、シャープペンはダメなのか、となると、必ずしもそんなことはありません。実際私もシャープペンで受かってます。

ただ、リスクはあることは知っておいてください。

シャープペンシルを使うリスク

① マークを消したとき、跡が凹む可能性がある(鉛筆でも凹むが、シャープペンの方が凹みやすい)=機械に誤読されるかも。

② シャープペンの芯は、鉛筆の芯に比べると機械が読み取りづらい

 大量のマークシートを採点する際には、OMR(Optical Mark Reader)という装置を使うのが一般的です。スキャナで読み取るということもできますが

正確性が落ちるので、曲がりなりにも国家試験である(別に曲がっちゃいませんが…)行政書士試験もOMRで採点されている(と思いたい)はず。

 では、このOMRとは何ぞやというと、

光をあてた時に、黒いところは光を吸収する白いところは光を反射する

という性質を利用して、マーク箇所を直接認識する装置。この光の吸収に関係するのが、黒鉛。黒鉛は光を吸収するので、OMRの赤外線が黒鉛に吸収

される(反射しない)ことにより、マークが塗ってあるという認識をします。

 で、シャープペンの芯に含まれる黒鉛の量は、鉛筆に比べて少ないため(黒鉛は柔らかいので、含有量が多くなると芯が折れやすくなる)反射しづらく

なるわけです。さらに“跡が凹む”とマズいのも、光の反射に関係した話。凹みで光が乱反射することで、読み取り部分に光が反射する量が少ない=マーク

が塗られている、という判定になる可能性があるということ。先をやや丸くした鉛筆というのも、塗るのが早くなるというのもありますが、凹みを軽減

する、という理由もあります。

 ただ、最近は赤外線でなく、赤の可視光線を使うものもあるようなので、この場合は黒く塗ってあれば反応します。暗記用の赤シートを使って読むと

赤字は見えなくなりますが、黒の部分はしっかり読めますよね。それと同じ。ただ、行政書士試験ではその辺がどうなっているかは、わかりません。

 マークの消し跡が黒く残らない消しゴム2個、というのも同じ理由です。塗り跡が残っているとマークが2個あると、機械に誤読される可能性がある

からです。2個というのは落とした時のためです。鉛筆数本も同じ理由です。鉛筆削りというのは、鉛筆を落として予備もなくなったなら、挙手をして

試験監督官に拾ってもらう、という手もありますが、芯が折れた時は助けてはもらえないので、鉛筆削り器もあると無難。もしくはシャープペンも同時に

用意するのが無難でしょう。その場合は替え芯も忘れずに。

 腕時計、というのは試験を受ける室内に時計が無い時用。といっても、会場の外見は下見でわかりますが、まず中へは入れないでしょうから、実際の室

内に時計があるかどうかは、入室して初めてわかる話です。当然携帯・スマホの時計は×です(電源切って封筒の中にしまわなければなりません)。なの

で、あった方が間違いはありません。

 電波時計だと難しいでしょうが、針を動かせるなら2~3分進めておく手もありです。試験時間の3時間は、基本的に試験監督官の時計で計るので

自分の時計では、いつスタートしたかはチェックしておきましょう。自分の時計ではあと30秒あると思っていたら、いきなり「終了」となってしまう

とシャレになりません。

2 マークを塗るタイミング

 考えられるのは、おそらく以下の4パターン。

① 1問ずつ塗る

② 何問かまとめて塗る

③ 出題分野ごとにまとめて塗る

④ 全部まとめて一気に塗る

 なぜか、行政書士試験はじめ、士業系試験では、④の、全部まとめて一気に塗る というやり方が出てきます。一方、マークシート試験といえば

一番頭に浮かびやすいのは、大学共通テストではないでしょうか。この大学共通テストでもマークをいつ塗るか、という話は出ますが、④を推奨して

いる話は聞いたことがありません。英語系の試験を受けていれば、英検やTOEICなどが頭に浮かぶ方もいるかと思います。TOEICのリスニングでは後で

まとめて塗る、というやり方は出てきますが、これはあくまで“マークには”印だけつけて先へ進む”→問題の先読みをするためです。この場合も解答に印

はつけているので、④のニュアンスとは違うはずです。

 ④のメリットとしては、問題用紙と解答用紙を行ったり来たりせずに、ひたすらマークを塗るので、マークを塗る時間の合計は①~③より短くなる

でしょう。また、問題文を読んで考える作業だけを続けるので、集中が続く面もあるかもしれません。一方デメリットとしては、試験の終盤にマークを

塗るための時間が必要になります。法令科目の5択だけをまとめれば40か所、多肢選択問題まで合わせれば52か所、一般知識まで合わせれば66か所

になります。66か所なら、1問5秒で5分30秒。10秒で11分かかります。塗るだけなら、こんなに時間はかかりませんが、問題番号と解答の確認

が必要なので、1問5秒は結構キツイはずです。しかも、試験終盤まで答案用紙は真っ白です。わからない問題で時間を食ってしまうと、なおキツクなり

ます。正直、筆者はこのやり方はお勧めしません

 残りは①~③となりますが、行政書士試験の場合、法令科目40問中、基礎法学2問・憲法5問・行政法19問・民法9問・商法5問という構成なので

この区切りでは、③をそのまま適用すると基礎法学は2問で一区切り、対して行政法は19問で一区切り、とかなりバランスが悪くなります。

 なので、ここで提示するのは以下のⅠ~Ⅲ。この際、どの順番で解くか、も関係するので、決めてない方は、こちらもご覧になってください。

⇒ 試験を解く順番

Ⅰ 1問ずつ塗る

このやり方に関しては、解く順番は不問どの場合でも使えます

ただし、分野ごとに解く場合は、各先頭の問題の番号に注意‼

 ◎ メリット

  ○ 時間が無くなった時に焦らなくて済む・・・やった問題は確実にマークを塗ってあるから安心

  ○ 手順を覚える必要なし・・・手順が一番簡単

 × デメリット

  ● 問題を飛ばすとき要注意・・・一旦保留にして問題を進めるとき、空欄で進めても、仮の答えを塗るにしても、ミスがおきやすい。

  ● 集中が切れやすくなる・・・1問問題を解くたびに、マークを塗る作業が入るので、集中が途切れやすくなる。

※ 解答を飛ばすとき

 いったん飛ばすときには仮の答えを決めてマークシートには1本縦線を入れておくことをお勧めします。そうすれば、最後ま

で答えを決められなくても、最終段階でそこを塗れば空欄での提出を避けられます。このとき問題番号に答えが仮であることをわかる

ようにしておくことを忘れずに。

Ⅱ 10問ごとに(一般知識は14問まとめて)塗る

このやり方は、1番から順番に解く場合限定です。マークシートの法令科目の5択は、1行10問×4列なので、10問区切りにする方法です。

 ◎ メリット

  ○ 塗り間違いが起きづらい・・・10問=1列ごとに塗るので、塗りミスに気づきやすい。

  ○ 集中が継続する・・・10問分は考えることを続けられるので、集中が切れない。

 × デメリット

  ● 最後10問を塗る時間の確保が必要・・・時間ギリギリになってしまうと、10問が空欄なので当然大ピンチになります。

  ● 番号順ではない解き方には使えない・・・順解き以外でこの方法を使うのはかえって複雑になるので×です。

Ⅲ 分野ごとに塗る

 前述のように、そのまま分野ごとに塗るとバランスが悪すぎるので

【基礎法学2問+憲法5問(問題1~7)】【行政法前半10問(問題8~17)】【行政法後半9問(問題18~26)】

【民法9問(問題27~35)】【商法5問(問題36~40)】【一般知識14問(問題47~60)】

という区切り方をする方法です。

 ◎ メリット

  ○ 同じジャンルの問題をまとめて解くので、集中が切れづらい

  ○ マークを塗るタイミングで、問題ジャンルが変わるので、頭を切り替えやすい

 × デメリット

  ● 手順が一番複雑・・・Ⅰ・Ⅱに比べると、機械的な決め方ではないので、最低1度はやり方に慣れる必要がある

  ● 各分野の最初の問題のマークには、細心の注意が必要・・・ここがズレると大変なことになるので、やはり慣れが必要

 ⅡやⅢの場合、大切なのは、問題を解いたときに、解答を問題番号の左・左上・上にわかりやすく書いておくことを忘れずに。こうしないと、マーク

シートに転記するときに、解答を見つけづらくなり、時間がかかってしまいます。

 どのやり方がいいかと言えば、見ていただいた通り一長一短ありです。筆者はⅠでしたが、順解きならⅡ、分野ごとならⅢも十分ありです。

1度試してみて、しっくりくるやり方を決めるのが良いと思います(やや無責任ですが…)。

3 選択肢を消す

 選択問題で、この選択肢は無いわ、と思ったとき、その選択肢をどうやって消しますか、という話です。

一般的には、選択肢の数字に○や×を書くのが普通でしょう。しかし、行政書士試験には「正しいもの(組合せ)を選べ」という問題と「誤ったもの

(組合せ)を選べ」という問題が出てきます。なので、選択肢そのものの内容の正誤で○×を付けると、問題によっては○の方を選び、問題によっては

×を選ばなければならない、ということになり、見直しのとき、この問題は○が正しいか、×が正しいかがわかりづらいです。

 ここで、筆者のおすすめは、消した選択肢は  のように横線、または斜線(/)で、消すことです。特に「“組合せ”を選べ」という問題では、1つ

だけは正解がわかったが、もう1つがわからないという場合は、正解には○または×を付けて置き、消した選択肢に横線(斜線)保留には何も書いてな

、となり見た目がわかりやすいはずです。

 以上、つらつらと、筆者の思うところの、行政書士試験対策を書いてきましたが、参考にしていただければ、うれしい限りです。今回は、試験直前

から書き始めたので、内容ではなくテクニック的な話になりましたが、今後もう少し内容的な話もぽつぽつと書いていければと思っています。

 それでは、また。

番外編

 これは、一般知識の文章理解の問題で、どうしてもわからないときに、解答を絞るための、一か八かの策です。邪道の極みの考え方なので、番外編に

書いてます。ちゃんとした話は ⇒ 文章理解を落とさない を読んでください。

選択肢が【1・ア→イ→ウ→エ→オ】【2・ア→ウ→オ→イ→エ】【3・イ→ウ→オ→エ→ア】【4・ウ→オ→ア→イ→エ】【5・ウ→イ→エ→ア→オ】

となっている場合、先頭が1つだけイである3が正解の可能性は低い、ということです。この場合は、消せる選択肢は1つだけですが、例えば

【1・ア→…】【2・イ→…】【3・イ→…】【4・ウ→…】【5・エ→…】、という場合なら、2・3以外は先頭が違っているので、答えは2か3

ある可能性が高い傾向がります。つまり3つの選択肢を一気に消せます。なぜなら他の1または4・5が正解だと、最初だけを読めば、後ろを読まなくて

も答えが決まってしまうので、解答に時間を使わせることができなくなります。なので、どうしても答えが決まらないなら、2か3にする、という手は

あります。ただし、これは傾向から見えているだけですので、過信はしないでください。まあ頭の片隅にでも入れていただいて、最後鉛筆転がして答えを

決めようという最終手段の段階で、賭けてみようという気になったら考えてみてください。ただし筆者は責任はとれないので、そこはご承知おきを。

 


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