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早いもので、今年度の行政書士試験まで、はや半年となりました。法令に関しては『4月1日現在施工されている法令』なので
そろそろ、今年度の試験についてつらつら書いてみても良き頃合いではないかということで、試験ネタ。
今年度から一般知識に大きな変更点があるので、少々大作(⇐なんか変な日本語ですが)になりそうな感じなので、以降数回に
渡って書いていきます。
今年度=令和6年度試験から行政書士試験の試験科目名に変更があります。
『行政書士業務に関連する一般知識等』と言われていた科目が、『行政書士業務に関し必要な基礎知識』に変わります。
今まで“一般知識”と言われていたのが、さしづめ、これからは“基礎知識”と呼ばれるようになるのですかね。
とは言え、旧一般知識はここで24点取れないと(14問中6問)、法令科目(そういえば『基礎知識』にも“法令”が入ってくるの
で、この呼び方も変わる可能性があるんですかね)でどれだけ点を取っても不合格ですから、大いに気になるところでしょう。
一体何が変わるのか、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、「行政書士試験の施行に関する定め」の改正点は以下の通り。
【新旧対照表】
改正後 | 改正前 |
第二 試験科目 二 行政書士の業務に関し必要な基礎知識 (一般知識、行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令、 情報通信・個人情報保護及び文章理解の中からそれぞれ出題する こととし、法令については、試験を実施する日の属する年度の 四月一日現在施行されている法令に関して出題するものとする。) | 第二 同左 二 行政書士の業務に関連する一般知識等 (政治・経済・社会、情報通信・個人情報 保護、文章理解) |
第三 試験の方法 二 試験問題については、行政書士の業務に関し必要な法令等から四十六題、 行政書士の業務に関し必要な基礎知識から十四題を出題する。 三 出題の形式については、行政書士の業務に関し必要な法令等は択一式及び 記述式とし、行政書士の業務に関し必要な基礎知識は択一式とする。 | 第三 同左 二 試験問題については、行政書士の業務に関し必要な法令 等から四十六題、行政書士の業務に関連する一般知識等 から十四題を出題する。 三 出題の形式については、行政書士の業務に関し必要な 法令等は択一式及び記述式、行政書士の業務に関連する 一般知識等は択一式とする。 |
変わった個所は、表中の青字が赤字に変わったわけですが大きなポイントは、科目名が『業務に関連する“一般知識等”』となっていて
その中に(政治・経済・社会)となっていたのが、科目名が『業務に関し必要な“基礎知識”』となり、()内に一般知識が移りさら
に、【行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令】が加わったことです。
では、【行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令】とは何?ということになります。『行政書士法等』と言っているわけ
ですから、当然【行政書士法】が入りますが、『行政書士業務と密接に関連する諸法令』とは?この辺は既に総務省から【戸籍法】と
【住民基本台帳法】等という発表がされています。
⇒総務省「行政書士試験の施行に関する定め」の一部改正について 概要
つまり、【行政書士法】【戸籍法】【住民基本台帳法】は覚えなければいけない、ということになるわけです。“等”なので、これら
以外の可能性もありますが、変更初年度からいきなり“等”からの出題はしないでしょう。
ここから先は、筆者の主観というか私見ですので、その辺は割り引いてお読みください。
先述した、総務省発表の『「行政書士試験の施行に関する定め」の一部改正について 概要』によると、改正の理由は
① 法律の目的に「国民の権利利益の実現に資すること」が明記された(行政書士法第一条)
② 聴聞又は弁明の機会の付与等に係る行為の代理を業務として法定化し、特定行政書士制度の創設(等の行政書士の業務に関し
必要な改正が行われた)
③ 欠格事由、懲罰及び罰則に関する規定の整備等の行政書士に求められる規範や規律に関する改正がなされた
④ 住民ニーズの多様化に伴う行政手続の複雑化や、行政手続のデジタル化への対応、災害時の被災者への支援、各種給付金申請
への支援、在留外国人への在留手続の支援等、行政書士に期待される役割が広がっている。
という、制度の改正、役割の拡大に的確に対応するため試験を改正する、とのことです。
改正の理由と改正の内容を照らし合わせると①~③に関しては【行政書士法】、④に関しては【行政書士業務と密接に関連する
諸法令】で対応すると見ることができます。さらに、『行政手続のデジタル化への対応』に関しては、先述の文書の「2・改正の
考え方」によれば、“行政手続のデジタル化に関連する「情報通信・個人情報保護」等の各分野について”という記述があることから
「情報通信・個人情報保護」分野の出題でカバーしようという見方はできるでしょう。実際昨年度でも『問題54』に『行政手続
のデジタル化』に関係した選択肢はありました。
では、一体どのような勉強が必要なのか?そもそも何問出題されるのか、といったところは気になるところです。『一般知識、行政
書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令、情報通信・個人情報保護及び文章理解の中からそれぞれ出題することとし』となって
いるので、最低1問は出ます・・・と言うより出題しなければいけません。対象法令が先述の3つとすれば、最大3問まではあり得る
と思ってもいいでしょう。
というわけで、一般知識改め基礎知識14問中、【文章理解】3問はいじらないだろう。【情報通信・個人情報保護】も『行政手続
のデジタル化への対応』にも関連するので3問~4問は維持される。新設の【行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令】か
らは、少なくとも2問(最大3問)は出るのではないか(根拠はおいおい)。そうすると【一般知識(旧政治・経済・社会)】は5~
6問あたりか。
新【一般知識】が壊滅的だった方については、朗報ですね。【情報通信・個人情報保護】【行政書士法等行政書士業務と密接に関連
する諸法令】に関しては、ある程度範囲が決まっているので、漠然とした【一般知識】を勉強しなきゃいけないのに比べると、はるか
にマシといえます。逆に【一般知識】で稼げそう(稼いでいた)方たちは大変ですね。
また、【一般知識】で削られる問題が、どの難易度の問題かもカギになりますね。妥当でない選択肢を選ぶ問題で『ヒラリー・クリ
ントンがアメリカ大統領になった』というような、これがわからないようなら、行政書士として必要な法令を知っている以前の問題
だろう、というのが削られるのか、日本の森林・林業のトピックという、ここまでフォローしようとすると、どれだけ勉強するのか
(アンテナ張るのか)という問題が削られるのか。
易しい問題が削られてしまうと、【情報通信・個人情報保護】【行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令】の得点が必須
になります。足切りは免れるとしても、今までの形式なら12問前後取れていたのが、9問前後になるようなら【法令科目】でより点
数を取らなくてはいけなくなります。
そんなわけで、参考になるかは何とも言えませんが、次回から、具体的に新設の【行政書士法等行政書士業務と密接に関連する
諸法令】に関する具体的な内容に入りたいと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。それではまた次回。