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行政書士試験攻略を連投して、はや6本目。どうにか次回にはひとまず
シーズン1はフィニッシュとする予定です。まあ投稿時点では誰が読んで
くれているのかはさておき、本番前には書き上げなければ、という謎の意
地でこの分野ばかりをアップし続け、えらくバランスの悪い投稿になって
ますが、もう少しお付き合いを。
前回、記述問題攻略編では、実際の問題を使うと、著作権の壁があるので、具体的な過去問を使わずに、話を進めなければならなかったのですが
今回の内容読解は、さらに大変なことになります。まず、(ご存知かと思いますが)当ブログでも度々紹介してきた、行政書士試験の公式ページと
いっていい、行政書士試験研究センターの過去問にも問題文すら掲載されていません。これも著作権の壁ですね。
大学受験対策でも、大学自身が出している過去問集や、いわゆる赤本などを見ても、国語のページはガッツリ白紙のページになっていて、ひどい
場合だと、8割ぐらい何が出たかわからない、ということもあります。余談の余談ですが、受験・検定などで作品の一部(全部)を使用する際には
著作権者の承諾なしに文章を使用できます(著作権法第36条)。しかし、それを問題集にして市販する、無償でもネットにアップする、となると
著作権者の許可は不要でも“通常の使用料の額に相当する額の補償金”の支払いが必要になります(同条第2項)。ここを掘り下げると、それだけで
1本書けるぐらいになるので、またどこかで。
閑話休題。そんなわけで、例に使用するのは、拙い筆者の文章です。そこら辺は何とぞご容赦のほどを。
◎ まず最初にやること→出題パターンをチェック
まず、最初にやることは、
タイトルをチェック
です。大体、出題文章の最後に書いてあります。タイトルを見れば、出題文の話題をつかめる場合が多いです。ここで、これから読む文がどのような
感じになりそうか、心構えをして本文に入りましょう。
その上で、文章理解問題のパターンは3通り
① 空欄補充型
A・文中の( )に適切な言葉や文を入れる場合や、B・( ア )( イ )( ウ )に入る言葉・文の組み合わせを選ぶ問題です。
Bの場合は、( ア )から考える必要はなく、どれか確定できるところから埋めればいいので、こちらの方が取っ付きやすい問題です。
対してAの方は、ピンポイントで答えを確定させなければいけないので、読み込みが必要になります。
どちらの場合も、空欄前後の文を読むことが必要になります。
② 並べ替え型
文中の空欄や、文末からの続きにつながる文章を、選択肢の文を並べ替えて作る問題です。本文の理解は必要ですが、選択肢の文の接続詞や
指示語に着目すると、本文に関係なく答えを導けることもあります。つまり点の取りやすい問題。
③ 要旨把握型
出題された文章で、作者が言いたいこと・主張は何か、逆に間違っているのはどれか、という形の問題ですが、最近はあまりないパターンの
問題です。前2つの型と比べると出題しづらいんですね。なぜなら前2つの型は作者の書いてあることが、そのまま答えになりますが、この型
だけは、出題者が勝手に作者の主張を決めつけて答えにしているので、もし作者がどこかで、「いやぁ、○年の行政書士試験の問題に、自分の
文章が出題されて、~が作者の主張って答えになってたけど、そんなこと全く考えてなかったんだけどな…」なんて言われたら、シャレになら
ないですからね。なので、今回は省略させていただきます(出たらごめんなさい)。
では、以下①・②について、例題を用いて、解答に至るまでどのような思考を経るかを、解説してみたいと思います。
① 空欄補充型
例 以下の文章を読み、(ア)~(エ)に以下の中から適切な接続詞を入れなさい
目指すは75%
行政書士試験の本番まで2か月となり、過去問の練習はもとより、模試を受けて結果に力を得た、落ち込んだという方もいるでしょう。
行政書士試験は、一般知識14問中6問正解した上で、トータルで300点中180点取れば合格するテストです。
((ア)、条件の1番に法令科目で50%以上の得点とありますが、一般知識の満点が14問×4点=56点なので、合計180点以上にする
には法令科目では、124点/244点=50%以上の得点が必要です。では、なんでこんな条件があるか、というと試験が難しすぎたときには補正
が入るから。そのときは、法令科目50%プラス一般知識24点で合格・・・ということがあるかもしれない、ということ。)
一般知識は5択問題(56点)。法令科目は5択問題40問(160点)、多肢選択問題(2点×12問=24点)、記述(20点×3=60
点)が、配点の内訳ですが、この記述問題がくせ者なのは、ご存知の方も多いでしょう。
行政書士試験に限らず受験経験があれば、答えを問題にも書いておいて、試験後に自己採点をしたことがあるかと思います。
試験後には、公式からの正解発表はすぐには出なくとも。資格系学校などが予想正解を発表します。2つ3つ見ればおおよその正解はつかめ
るので、自己採点することは可能ではあります。
( イ )、ここで問題なのは記述問題です。0点or20点というものではなく、部分点があるということが言われてはいます。
が、公式に正解が発表されるのは合格発表後。しかも正解例が1つ出ているだけで、何が書いてあれば部分点が何点というのはありません。
この辺が一部で噂される、『記述問題が合格率の調整弁になっている』という説の根拠なのでしょう。
筆者も受験業界の端くれにいたものとして、大学受験の記述問題でもいろいろな噂は聞いてきました。
筆者も昨年受験した時に、記述問題も採点してくれる某学校の予想サイトで、自己採点(『自己』かどうか微妙ですが)したところ、記述の
予想点数は36点。しかし、実際の点数は28点。1問はどこかの学校の予想解答と1文字単位で同じ。他にもかなり似た感じの問題もあった
ので、まあ、30点はあるかな、と思ったらこのザマ。
( ウ )、記述の自己採点はどうしても、基本あまくなるのが定番なのは、よくよく知っているのですがね。
高校受験などで、生徒が自己申告で、正解と同じような(この“ような”が曲者)答えを書けてたので、配点の半分で見積もって~点だった
なんて話をするのですが、こちらはさらにその半分で見積もったものです。
( エ )、このように採点基準が見えないものに対して、30点は取れるように記述をやって、選択問題で150点を目指す、などという
目標の立て方をすると、最後に記述で数点足らずに泣きを見る、ということになりかねません。
だからといって、記述対策をしなくていい、ということではないですよ。
ただ、本番まで2か月ある今の時点では、選択問題で180点を目指す。結果として足りない部分を記述で補う、という方が合格に近づける
というのが、筆者の見解です。
接続詞
● つまり ● しかし ●もっとも ● ちなみに
ちなみに、この文は当ブログの ⇒目指すは75% の文を一部変えたものです。文章が駄文なので、問題としては難しめ(すいません…)。
では、ここに取り上げた接続詞について考えてみましょう。
● つまり・・・・言い換えを表す接続詞です。この仲間には“要するに”があることからわかるように、前の内容の要点・本質を表します。
● しかし・・・・逆説を表す接続詞です。前の文や内容を否定するときに使います。
● もっとも・・・補足を表します。前の部分の不十分な所を補うのですが、読者に知ってほしい事実・理由・条件などを補足します。
● ちなみに・・・これも補足を表します。こちらは、読者に参考になる・参考にしてほしい情報などを補足します。
上記のように、選択肢の言葉の本質を抑えると、“つまり”、と、“しかし”、の入る場所は確定しやすいはずです。
“つまり”の後ろには、前の内容の要点・本質が書かれているはずなので、(ア)~(エ)の後ろに前の内容の要点・本質が書かれている箇所に“つまり”
が入ります。ここで、この話のタイトルが「目指すは75%」であること。さらに何に対しての75%か、といえば記述問題の満点240点のうちの
75%=合格点の180点、を目指す、ということは読み取れるはず)です。それまでの話の中身が、記述問題で得点を計算することの危うさを述べて
いること、その後で「選択問題で150点を目指す」ことを否定していることを踏まえれば、( エ )が“つまり”です。
では、( ア )~( ウ )の中で、( )の後で、前の話の内容を否定しているのはどれか、を考えれば、( イ )が“しかし”です。
( イ )の前では、予想正解をみれば(選択問題の)自己採点はできることが書いてます。対して、後ろでは、記述問題では、自己採点はできない
上、部分点もわからないという内容になっています。
残りは、( ア )と( ウ )になります。どちらも“補足”の接続詞ですが、“ちなみに”が、読者に参考になる・参考にしてほしい情報の補足で
あることを考えると、( ウ )の後ろの文章は明らかに、読者の参考にはならないですよね。筆者は元受験対策の指導をしていたので、記述問題の
自己採点がいかにあてにならないか、は知っていた(←これが作者が“読者に知ってほしい情報”)ことを言いたい文章。
よって、( ア )が“ちなみに”、( ウ )が“もっとも”、になります。
この例題でも、空所を埋めるには、文の前後をチェックしていたことは、解き方の過程を見れば、ご理解いただけたかと思います。
例題では選択肢が接続詞でしたが、語句や文章でも本質は同じです。
② 並べ替え型
以下の文の【 】に以下の選択肢を適切に並べ替えて、適切な文章にせよ
1+1=2である、と言えばそんなこと当たり前だ、と思われるだろう。果たして本当にそうなのだろか。
【 】
このように、異なる世界や、異なる条件の下では、当たり前と思っていることが、決して当たり前ではないのだ。
選択肢
ア・では、1つの粘土と1つの粘土を合わせれば、1+1=2になるのか。
イ・そのような、2のない世界の話をするなんてズルい、と言われる方もいるかもしれない
ウ・確かに、鉛筆1本と別の鉛筆1本をまとめれば、合計2本なのだから、当然1+1=2になるだろう。それ以外に何があるのだ。
エ・それぞれの粘土をくっつけてしまえば、1個の粘土になる。この場合は1+1=1になる。
オ・しかし、デジタルの世界では数字が0と1しかない。この場合は1+1=10となる。
これまた、筆者の駄文です。内容そのものに異論反論あるかもしれませんが、あくまで解法の例として作った文章なので、そこはご容赦を。
さて、並べ替え型の問題では、接続詞や指示語に着目、と書きましたが、この問題の場合では
●接続詞・・・○アの“では” ○エの”しかし”
●指示語・・・○イの“そのような”の“その” ○エの“それぞれ” ○文末の“このように”
が、該当。ちなみに、ウの、それ以外の“それ”は、同じウの文中の“1+1=2”、エの、この場合の“この”、は“それぞれの粘土をくっつけてしまえ
ば、1個の粘土になる”、なので選択肢の文の繋がりを判断する語ではないので、ここでは無視してOKです。
● では・・・前の事柄を受けて話を続ける。後の文の内容としては、前の内容の順接にも逆説にもなる
また、下の組み合わせ
★ [事柄A]。確かに[事柄B]、しかし[事柄C]…
という場合は、[事柄B]は[事柄A]の内容を受ける(認める)、[事柄C]は[事柄B]と異なる(打ち消す)内容(つまり[事柄A]とも異なる)
内容になることが多いです。
この文章では、確かに、の後を見れば、[事柄B]は“1+1=2”、そうすると[事柄C]は“1+1=2”ではない、ということになります。
さらに選択肢の文には、“1+1=2”の文はないので、[事柄A]は【 】前の文中の“1+1=2”となります。つまり、答えは、ウ→オ、で始まります。
次に、指示語が何を示しているかを考えましょう。
●イの、“そのような”の“その”、の指す言葉を考えると、“そのような”の後ろに“2のない世界”という言葉があることから、“その”は“2のない世界”
である世界、つまり、オの文中の“デジタルの世界”を表していることがわかります。よって、オ→イ、と繋がります。
●残り2つは“1+1=2”ではない別の例、粘土の話になってます。ここでエの、“それぞれ”の粘土、の指す言葉を考えると、アの文中に“1つの粘土と
1つの粘土”があるので、これを指していることがわかります。よって、ア→エ、と繋がります。
最後に、接続詞“では”の意味を考えると、“では”の後に続く、粘土の話=前の事柄を受けた話、になるので、前の事柄は“デジタルの世界”となります。
これらをまとめると、答えは、ウ→オ→イ→ア→エ、と決まります。
実際の問題では、もっと長い文章を受けて、順番を決めることになると思いますが、ここで見たように、並べ替えの該当の前後を、気を付けて読めば
選択肢の文の並べ替えのみに着目しても、ある程度答えの見当をつけられます。
このように、論理的に詰めていけば、答えにたどり着けるのが、文章理解の問題です。特に一般知識問題に自信のない方は、少し時間を取ってでも
論理的に詰める作業をやって、少しでも上積みをして、確実に一般知識の足切りから逃げ切りましょう。それでは、また。