【行政書士試験】記述問題を突破せよ


 というわけで、今回は行政書士試験で避けて通れない記述問題の攻略法。まず基本

5択問題の解答の(特に正しいことを書いてある)選択肢・その解説・根拠を読み込む

ということです。そうすることで、記述で出題されている問題が、どの分野の問題かが掴め

るようになる上、キーワード(キーフレーズ)が浮かぶようになります。

 なお、本来は具体的な問題を使って説明できれば良いのですが、いかんせん平成12年

以降の問題に関しては、著作権の壁があるため過去問を使えないので、ぼやっとした文章

の例示になることは、ご了承下さい(一応行政書士の専管業務の1つに著作権“関係”の登録

もあるので、一応行政書士の端くれとしては堂々と無視しづらいもので・・・許諾を取

れば使えるようですが)。

① 解答の字数・・・基本の基本

 ”40字程度”で記述しなさい、と出題されてますが、解答のマス目は45字分あります。ここで、過去の記述問題の模範解答を見るとわかりますが

ほとんどの解答例が40字を越えています。つまり、上限は45字まで目一杯使ってOKです。では、下限はとなると、これは現代文の記述でも言われ

ますが、規定の90%は埋めるのが鉄則。この場合は45字の90%ではなく、問題文に書かれている40字の90%、つまり下限は36字。よって

解答の長さは 36字 ~ 45字 

に、収まるように文章を作りましょう。一応過去問・解答例を確認したい方は

⇒ 行政書士試験研究センター

 ついでに、こちらのサイトのヘッダーの、“このサイトについて”の“著作権について”、を見ていただければ冒頭の著作権云々の事も書いてあります。

② 何についての問題か

 まず以下の3点に気を付けて、問題文を1回通読します。

  ●A どのジャンルの問題か・・・行政法であれば、行政事件訴訟法なのか、地方自治法なのか、行政手続法なのか…といった点。民法であれば、

総則か、物権か、債権か、家族法なのか。

  ●B ジャンルを細分化・・・例えば、行政事件訴訟法の問題であれば、どの訴訟類型なのかといった点。債権であれば、契約の形態なのか、

債務不履行に関する話か、保証に関する話か、もちろんこれらが複合することもあり。ここまでわかれば、解答に必要なキーワードも出てくるはず。

出てこなければピンチです。例えば、1号義務付け訴訟の問題であれば訴訟要件である

Ⅰ 法律上の利益(原告適格・訴えの利益)を有する

Ⅱ (一定の処分がされないことにより)重大な損害を生ずるおそれがある

Ⅲ その損害を避けるために他に適当な方法がない

が、キーワード(キーフレーズ)になります。

  ●C 何を答えるかを問題文から読み取り、チェックする。これについては③で。

 この3つに順位付けをしないのは、行政法の問題では、ジャンルは問題を最後まで読めば、ジャンルは自明な場合もあるから。例えば文中に

「どのような訴訟を提起すべきか」

とあれば、明らかに行政事件訴訟法の問題。Aについては考える必要なし。逆にBがわかれば、半分話は終わってます。これを答えられれば部分点を

期待できる“かも”しれません(あてにしすぎてはいけないのは、⇒目指すは75% 参照)。さらに必要に応じて

  ●D 登場人物・関係を整理した、図を描く

 民法の問題では、登場人物や権利関係の整理などで図を描いた方が良いです。行政法の場合は文章こそ長くても、登場人物(団体・機関)の関係が

複雑ではない場合が多いでしょうし、権利関係がどうこうという事もそんなにないでしょうから、あまり気にしなくてもいいでしょう。

 

③ 何を答えなければならないか

 前項、Cについての話です。行政書士試験の記述問題では、1つの設問に対して複数の事柄を答えさせる問題が頻出しています。例えば

「・・・誰を被告として、・・・どのような主張をし、どのような訴訟を起こすことが適切か。」

という出題のされ方をした時。実際には・・・の部分にいろいろな文や語句が入ることが多いですが、余計な修飾をはぎ取ると、こういう形になる

文章はよくあると思います。この問題を見たときには、次のようなチェックをすることになります。

「・・・①誰を被告として、・・・②どのような主張をし③どのような訴訟を起こすことが適切か。」

つまり、この問題では①~③の3点を答えなければいけません。そうすると、まずは

 ●被告・・・○○●主張・・・□□●訴訟類型・・・~訴訟(または~の訴え)という3点を書き出すことになります。

④ 解答を作る

 では、具体的に(例は抽象的ですが…)解答の文章の作り方を考えてみましょう。問題は先ほどと同じ

「・・・①誰を被告として、・・・②どのような主張をして③どのような訴訟を起こすことが適切か。」

という問題です。この時点で、どのジャンルの問題かわからなくても(何なら行政書士試験の勉強がゼロでも)

○○を被告として、7字)・・・と主張して、6字) ~訴訟を提起する。8字

という、フォームができ上がります。つまりこの時点で7+6+8=21字が確定します。

 さらに、この問題が問44で出題されていれば、今年突然出題順を変えなければ、行政法の問題なので、③から行政訴訟手続法の訴訟類型

を問われていることがわかるはずです。さらに訴訟類型が決まれば訴訟要件を考える(思い出す)ことにより、②どのような主張をするか、も

決まってきますし、①誰を被告とするか、も決まります。

 例えば、③が義務付け訴訟①被告がA市とわかった場合。○○には「A市」~には「義務付け」が入ります。よって解答フォームは

A市を被告として、・・・と主張して義務付け訴訟を提起する

となり、・・・以外で27字が確定します。次に義務付け訴訟であれば、何を義務付けるかが必要です。例えば是正命令を義務付けるなら

A市を被告として、・・・と主張して是正命令の義務付け訴訟を提起する

となり、「是正命令の」が増えたので32字になります。さらに、1号義務付け訴訟の場合ならば提起する要件=キーフレーズには

Ⅰ 法律上の利益(原告適格・訴えの利益)を有する

 (一定の処分がされないことにより)重大な損害を生ずるおそれがある

Ⅲ その損害を避けるために他に適当な方法がない

が、あります。つまり、このⅠ~Ⅲのどれか(または複数)を問題に合わせる形で選び・・・の部分にすれば、形が出来上がります。

⑤ 字数の調整

 まず、基本的に50字以上の解答になっているとき(5文字以上オーバー)は書かなくていいことが書いてある可能性が高いです。逆に35字以下

の場合は、書くべきことの何かが抜け落ちてます。これらの場合は④に戻って答えを組み立てなおしましょう

 さて、ここでは、上の例で・・・の部分にの「重大な損害を生ずるおそれがある、を入れるとしましょう。

これをそのまま解答フォームに入れて文章を作ると

A市を被告として、重大な損害を生ずるおそれがあると主張して是正命令の義務付け訴訟を提起する

となりますが、この解答、47字あります。つまり、2字削らなければいけません。この場合は候補として

1・A市を被告として、の「をカットする。

2・A市を被告として、の「をカットする

3・重大な損害を生ずるおそれがあると主張しての「をカットする

4・「提起する」を「起こすに換える

 この1~4のうち、2つを選べばいいでしょう。4に関しては、「訴訟」は「提起する」、の方がいいかもしれませんが、問題文が起こすならば

起こすでも問題ないと思われます(逆の場合はお勧めしません)。基本的に、順接の接続助詞「て」や読点(、)はカット候補です。

 ここでNGなの最後の文字と句点(。)を同じマスに書くこと。原稿用紙に文章を書く場合は、行末に句点(。)読点(、)を書き、次の行頭に

書かないのがルールですが、記述問題でマスを埋める場合は、この書き方はNGです。行頭でも構わず句点、読点を書きましょう

 以上、行政法の問題の例になりましたが、基本的な考え方は民法でも同じです。記述問題は大変だと思いますが、参考にしていただければ幸いです。

それでは、また。


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