自動車登録 OSS編(1)

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➡ 前回  OSS体験会に行ってみる はこちら

 今から、自動車登録をやるなら、OSSに対応できるようにしておこう、さらに諸々の手続きにも対応できるようにしよう、と決めたのが前回。

OSSというのは、ここでは“自動車の”ワン(O)ストップ(S)サービス(S)のこと。わざわざ“自動車の”と付けたのは、現在、行政のデジタル化の一環

として、様々なワンストップをやろうとしているから。気になる方は、詳しくは(といって大して詳しくないですが)こちらをご覧になってください。

➡ デジタル庁 政策 公共フロントサービス (画面真ん中あたりまでスクロールしてください)

相続もワンストップサービス化と言ってるんですね。その意味では、先日の戸籍法改正も、相続のOSSを目指す1つの流れと言えるのでしょう。

 この自動車のワンストップサービスというのは、そもそも我々行政書士や、自動車関係を扱うディーラー・整備工場などの業者向けのシステムではなく

一般の利用者も使えるようになっているサービスです。確かめたい方は「OSS」で検索して、「自動車保有関係手続のワンストップサービス」のページに

アクセスしてみてください。リンクを設定したら一言連絡しろと言ってるので、すいません、面倒なので、ご自身で検索かけてください。ちなみに、サイ

ト内の情報(画像など)も著作権でブロックがかかっているので、引用の範囲以上では使えません。以下、画像が無いなどの不自由もご了承ください。

 しかし、本気で広めていきたいなら、情報も多少自由に使わせてくれりゃいいのに。多少(?)批判めいた事を言ってたって、宣伝するんだからさぁ。

 愚痴はさておき、OSSは先述のように、読者の皆様も使うことのできるシステム。なので、これをただ導入するだけでは、大して意味は無し。実際に

サイトを見て、少々やってみていただければわかるのですが、我々行政書士がこのサイトを使うと、1人・2人を入力するにはいいのですが、1度に複数

の入力をやると、ものすごく手間がかかります。なので、行政書士やディーラー用には大量申請もできる専用のシステムがいくつかあります。とりあえず

私の場合は、説明会で使ってみたAINASを導入することに。

 それとは別に、この度車検証の電子化に伴い、電子車検証の券面非記載事項に関して

は、運輸支局に行くことなく記録等事務代行者が車検の書き換えができるという記録事

務代行サービスが始まっています。行政書士は登録をすると、運輸支局長から特定記録

事務/特定変更記録事務の委託を受けて、記録等事務代行者になることができます

 では、一体何がやれるか、ついでに、誰がなれるかも合わせてまとめると

特定記録等事務特定変更記録事務
資格者行政書士※1 日整連 自販連
全軽協※2 指定自動車整備事業者
行政書士※1
対象手続継続検査移転記録変更記録※3
※1 行政書士法人含む ※2 軽自動車のみ ※3 券面非表示事項(ICタグ内の記録事項)の変更のみ

 上の方で「それとは別に」と書きましたが、電子車検証の書き換えを行うには手続

きがOSSで行われていることが前提ですので、OSS関係のセットアップも不可欠になり

ます。

 ちなみに、電子車検証の券面非表示事項(ICタグのみに記載されている事項)は、以下の事項です。

電子車検証の券面非記載事項

● 有効期限  ● 所有者の氏名  ● 所有者の住所  ● 使用者の住所  ● 使用の本拠の位置

 有効期限が券面記載でなくなる、ということは逆に言うと車検証を見ても、自分でも有効期限はわからない、ということです。また、使用者が亡くなら

れた時には、相続人にとって所有者が誰か、というのは相続において大事なのですが、車検証をみてもわからなくなってしまうわけですね。車検証閲覧ア

プリという、電子車検証のICタグ内の事項も見られるアプリがあるので、それさえわかっていれば問題はないのですが。

 電子車検証は令和5年1月からスタートしています(軽自動車は令和6年1月から)。ということは、現段階ではこれから車検を受ける自動車は、その

車検時に紙⇒電子車検証に切り替わることになるケースが多いでしょう。今年(令和5年)に新車(軽自動車除く)を購入された方は、電子車検証になっ

ているかと思いますが、いずれにせよ継続検査で記録事務代行サービスを利用することになるのは、もう少し先の話ですかね。

 一方、移転記録・変更記録に関しては、既に電子車検証を持っている方がいらっしゃるので、その方(またはその自動車の所有者)が引っ越す、結婚し

て苗字が変わるなどの場合は、記録事務サービスの利用ができます。ただし、支局の管轄を越える引っ越し、使用者の氏名の変更はダメ。また相続・贈与

による移転登録もダメ・・・というか、これはそもそもOSSでできない。できるのは、所有権留保の解除と売買ぐらい。まあ、これからやれる範囲も広が

るでしょう、と期待を込めて。

 さて、先ほどOSSは読者の皆様も使用できるシステム、という話をしました。ということは、ディーラーや我々行政書士に頼むことなく、自分で諸々の

登録ができるようになる、という印象になりますよね。いや、今までだって自分でやれるんですよ。ただ、大前提として、運輸支局(軽自動車の場合は軽

自動車検査協会)に行かなきゃいけない=平日の日中に時間を作らなければならない、という事があります。しかも、行ったら行ったで、すぐ用件が終わ

るということはないので、昼休みの間に片づけるなどという期待はしない方がいいという状況です。さらに、車庫証明も必要となれば、あらかじめ警察署

に行って取得しなければいけないので、さらに窓口に行く機会が増えます。しかも、車庫証明は警察署に書類を持って行って、即日発行されるものではな

いので、平日の日中に時間を取るのが1日だけではない、という条件をクリアできなければ、実質自分ではできなかったわけです。

 この手間が、OSSの導入によってどう変わるかというのが、興味のあるところではな

いでしょうか。何せワンストップですからね。以下、変更・移転登録の場合。

 では、どのような段取りになるかを、簡単に。まず大前提として、マイナンバーカー

ドが無ければゲームオーバーです。さらにPC(Windows10以上)も必須です。さらに

カードリーダー、またはマイナポータルをダウンロードしたスマホも必要です。その上

でアドオン・プラグインの導入などブラウザの環境整備も必要です。私もやったのです

が、まあこの辺はちょっとがんばれば、といったところ。

 その辺をクリアして晴れて登録の段取りへ。ここからが、いろいろ分かれます。

まずは、所有者=使用者かどうか。そうであれば、自分が所有者なので、委任状

関係が必要ありません。委任状が必要な場合は電子になっていなければ、OSS登録

後に、紙を運輸支局へ持っていくことになります。あれ?ワンは?

  まあ、ひとまずそこは置いておいて、住所変更とをするなら車庫証明も必要ですよね。ちなみに車庫証明もOSSで取れます。というか、この(令和

5年)9月までは、OSSで手続しないと登録手続きができませんでした。しかし、令和5年10月から、紙の車庫証明を取ったところからOSSをスタ

ートさせることもできるようになりました。なんで、そうなったかの話は

➡ 前回  OSS体験会に行ってみる はこちら

でも記した通り。あの場でも出ていた苦情(?)は、おそらく他の会でも出ていたのでしょう。まあ私らのように商売でやっているのでなければ、スピー

ド感はそこまで重視されるか、というのもありますがね。ちなみに、取った車庫証明は郵送してもらうこともできます

 その後、手数料・税金の支払いを行い、最後に自動車検査証などの交付物を受け取ることになります。郵送または窓口での受け取りを選ぶわけです。

また、旧車検証が電子車検証の場合は、記録事務等代行者である行政書士も書き換えができます私も記録事務等代行者なので書き換えができます

 現在、料金設定やら、受付方法などを鋭意検討中。なに、移転登録だと、全て紙で行う場合(相続など)、こちらでOSSを用いて処理する場合~窓口

へ行く場合・窓口へ行かずに弊所で書き換えをして終了する場合、お客様がOSSの手続きを行って弊所で書き換えだけする場合、などの価格差をどうす

るか、書き換えだけを受け付けるなら、支局のやってない時間や土・休祝日に対応して意味があるのだろうから、そこら辺をどうするか、近々決めなけれ

ばと思っているところです。また、自動車登録に関しては、ご自身で手続される場合、OSSでの手続の方法、弊所へご依頼していただける際の必要書類な

ど、鋭意作成していく予定ですので、よろしくお願いいたします(なんか変なまとめになっている気が…)。

 結局、私がシステム設定する際の紆余曲折には、ほとんど触れずに、OSSそのものの話やら、電子車検証やら、記録事務等代行サービスの話になりまし

たが、その辺は今度こそ次回に。最後までお読みいただきありがとうございました。それではまた。


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