住民票の種類・用途


 行政書士の業務系、と題打っておきながら、戸籍関係の話ばかりになってしまっているので、コイツは戸籍しかやってないのか、となりそうですが…。

少し前が戸籍法改正の話。それで、今回までの期間中、ただサボっていたわけではなく、自動車登録関係のページを作成していたところ、こちらでも必要

書類で、住民票・印鑑証明書・戸籍謄本・戸籍抄本と、色々出てくるわけですね。住民票でOKだったり、戸籍謄本・抄本どちらでもよいこともあれば

戸籍謄本のみのケースもあったり、と書いていると、それぞれの書類が一体何なのかまとめたページを作った方が後々便利かと思い、今回は住民票編。

 一番取得する機会が多く、かつ耳にすることも多いのが住民票でしょう。その目的は、その人の現在の居住関係(現住所)を公証すること。したがって

原則本人確認(身分証明)としては使えません。そもそも住民票(正確には「住民票の写し」)を取得する際に、本人確認が必要ですから(委任によって

取得することもできる)取得時点では本人確認はできていますが、取得した住民票を使用する際に、それが本人の使用かはわかりません。なので、原則と

しては本人確認にはなりません。しかし、一部クレジットカード作成時には本人確認書類となることもあるようです。

 以下

  ① 住民票の写し(世帯票と個人票) ② (住民票の)除票の写し  ③ 住民票記載事項証明書  ④ 改製原住民票  

  ⑤ 不在住証明書(不在籍証明書  ⑥ 広域交付住民票(広域住民票)

 の、6種類について簡単に説明をしていきます。

① 住民票の写し

 これが1番取得機会が多いでしょうし、普通「住民票」といえば、これを指す場合がほとんどでしょう。ちなみに「住民票」というのは、役所がコンピ

ュータに保存してあるデータそのものを「住民票」といいます。私たちが日ごろ役所でもらうのは、そのデータを紙に“写し”たものなので、正確には「住

民票の写し」といいます。

 先述のように住民票の写しには

● 世帯票(世帯全員)  と  ● 個人票  

の2種類があります。見本はこちらで(共に札幌市役所ホームページより)

 ⇒ 世帯票    ⇒ 個人票

世帯票(世帯全員)

目的は、「世帯全員の住所」ならびに「同じ世帯に何人いるか」を証明したいときに使用します。1枚の用紙に4名まで記載されます。

 ※ 個人についての住所を証明したいときには、個人票にしましょう。世帯全員がいるのだから自分も証明できる、的な考え方で世帯票を使う

   と、不必要な個人情報の開示になってしまいます。

個人票

1人分(自分)の住所を証明したい場合が個人票です。

 住民票の記載事項は、以下の通りです。

 ① 氏名  ② 生年月日  ③ 性別  ④ 住所  ⑤ 住所を定めた日とその届出日  ⑥ 市民となった日  ⑦ 前住所

 ⑧ 世帯主氏名  ⑨ 世帯主との続柄  ⑩ 本籍と戸籍の筆頭者

 ⑪ 国籍・地域  ⑫ 中長期在留者・特別永住者等の区分  ⑬ 在留カード等の番号  ⑭ 在留情報(在留資格・在留期間等及び在留期間等の満

 了日)

 ⑮ 上記の変更理由や届出日等  ⑯ 個人番号  ⑰ 住民票コード

 このうち、①~⑦は自動的に記載されるもの⑧~⑮は通常記載されないので申請時に申し出るもの⑯・⑰は通常記載できないものです。

また、⑩は日本人⑪~⑭は外国人特有の項目です。⑧~⑩に関しては必要がある場合のみ記載をしてもらいましょう。

 つまり、住民票(の写し)というのは、①~③である人物が、④に住所がある+⑤~⑦の事柄を公的に証明する書面であり、①~③である人物が世帯主

でない場合は⑧・⑨でその住所の世帯主との関係を、本籍がどこかまでを証明する必要があれば⑩で証明してくれます。

 また、世帯票を取得すれば、世帯主と世帯を構成する人達の関係を証明することができます。

 ここで、注意しなければならないのは、これはあくまで、世帯と世帯を構成する人達の関係を証明する、のであって、親子兄弟姉妹などの家族そのもの

の証明にはなりません。

 例えば、夫婦2人に子供が2人で同じ家に同居。子供は1人が社会人として収入を得ていて、もう1人が高校生の場合。この場合社会人の子供は世帯を

別にしていることが多いと思います。この場合、夫婦が世帯票を取得すると、社会人の子供は世帯票には載りません。逆に、この社会人の子供が世帯票を

取得すると(世帯が1人なので、原則世帯票を取得する必要がないのですが)、両親も弟or妹も世帯票には載りません。

 家族関係を証明したいときは、原則、戸籍謄本(抄本)を取得することになります。

② 住民票の除票の写し

 まず、除票とは何かから。

 ◎ 除票・・・世帯の人達すべてが転居(引っ越し)・死亡などで、かれた住民のこと

つまり、世帯の誰か1人が引っ越すor亡くなることで世帯から抜けてもとなっても住民票は除票にはなりません(1人世帯は除く)。しかし、世帯から

抜けた人の情報に関しては、除票の写し、という形で、世帯から抜けたことを証明することができます。また、過去のある期間、その住所に住んでいた

ということの証明にもなります。

 この、「除票の写し」というのは、個人単位でしか取得できません。また、本人以外が請求する場合は

代理人による請求であれば委任状第三者による請求の場合は請求理由を証明する資料の添付

が、必要になります。

 主に必要な場面は、まずは相続ということになります。

 ◎不動産の相続・・・不動産の登記簿の所有者と、亡くなられた方が同一人物であるか、除票を用いて氏名・住所・本籍地を確認します。

 ◎除籍謄本の取得・・・戸籍謄本・除籍謄本の取得は本籍地のある役所でしか取得できません。この本籍の確認のために使用します。

  ※令和6年3月から改正戸籍法の施行により、配偶者・直系血族(親・子)は本籍地でない、最寄りの役所でも戸籍謄本・除籍謄本を取得できます。

  改正戸籍法については、こちらもお読みいただければ・・・ ⇒ 戸籍謄本はまとめて取れる…ようになる

 次に、不動産の売却自動車登録でも必要な場合があります。例としては、自動車の名義変更(移転登録)旧所有者の車検証の住所印鑑証明書の

が異なる時は、転居が1回住民票2回以上の場合住民票の除票または戸籍の附票が必要になります(廃車・住所変更でも同じ)。

 

「除票の写し」は、コンビニエンスストアでマイナンバーカードで取得することはできません。また、転居の場合は以前の住所死亡の場合は死亡時の住

所の役所で取得することになります。

③ 住民票記載事項証明書

 住民票記載事項証明書とは、住民票の写しの内容から申請者が必要とする項目のみを証明するものです。

  ※ 住所・氏名(記載されている場合は、旧氏・通称も)は必ず記載されます。

 一般的には、提出先が定めた用紙に求められた項目を記載して役所に提出し、その項目が正しいことを証明してもらうものです。指定の用紙が無ければ

各自治体の書式で発行してもらえます(逆に言えば、各自治体で書式が違うので、書式を揃えるために提出先が書式を用意する、とも言えます)。

 用途としては、就職・転職・アルバイトなどの雇用時に提出を求められる機会が多いと思われます。企業には、労働基準法により労働者名簿の作成が義

務付けられており、雇用者の正しい氏名・住所。生年月日・性別などを知る必要があります。この“正しさ”の証明のために証明書が必要なのですが、住民

票の写しでは、前住所などの不要な情報まで記載されてしまいます。個人情報保護の観点から、企業としても不要な情報まで保持したくない、というとこ

ろから、住民票記載事項証明書を求めていると思われます。

④ 改製原住民票

 住民票は同一市区町村内での転居が重なり記載事項が多くなってしまい、記載欄が足りなくなってしまった場合や、システムの変更が行われた際

既存の住民票を改製(作り変え)し、新たな住民票が作成されます。このとき、改製前の(元の)住民票改製原住民票といいます。

 近年、行政のデジタル化によって、住民票を紙➡電子や、最新の電子システムへ変更が行われた際に、旧来の紙の住民票が改製原住民票になってしまっ

たケースが多いです。新しい住民票が作成される際には、元の住民票の記載事項(住所・氏名など)は引き継がれないため、最新の住民票に記載されてい

ない以前の住所・氏名などを確認する際に、改製原住民票が必要になることがあります。

 改製原住民票には、自治体に保管期間があります。以前は5年だったのですが、令和元年6月20日に施行された住民基本台帳事務処理用鋼の一部改正

により、保管期間が150年になりました。ですので、以前(自治体により差がある)に改製された場合は、改製原住民票が自治体に保管されています

が、それ以前に改製された場合は既に保管期間が過ぎているので、請求しても交付されないことになります。

 ※ 令和元年6月20日時点で5年に満たない改製原住民票が、保管期間延長でになった、という考え方であれば、平成26年6月20日以降のものが

   保管対象になってる自治体もあれば、年度替わりの関係で平成26年4月1日以降のものが、保管対象になっている自治体もあったりするので、ご

   自分の自治体がどのようになっているかは、各自でご確認してください。

⑤ 不在住証明書

 不在住証明書とは、申請の対象の住所・氏名では、その日の時点でその自治体には住民票や除票がないことを証明するものです。

 用途としては、相続登記の際に、不動産の登記簿の所有者の住所が、亡くなられた時の住所と異なる場合(住所変更登記をしなかった場合)、転居した

ことを証明する書類が必要になります。この際住民票の除票や、戸籍の附票などで証明するのですが、これらの書類は保管期間を過ぎると廃棄されてしま

います。この際、亡くなられた住所(転居後)に住んでいる(た)証明と、その日の時点で登記簿上(転居前)の住所に住民票がないことを証明すること

で、所有者の同一性を証明しようという際に、転居前の住所を有する自治体に請求する場合がほとんどと思われます。

⑥ 広域交付住民票(広域住民票)

 広域交付住民票とは、住民票のある自治体以外の市区町村が発行する住民票の写し、のことです。取得できるのは本人・同一世帯員のみです。代理人・

第三者による請求はできません。請求には官公署が発行している写真付きの身分証明書(運転免許証など)が必要です。勤務先や通学先などで、住民票の

写しが必要なときに利用できます。

 ただし、広域交付住民票には、本籍地の記載ができないので、運転免許証の更新・年金・裁判関係には使用できません。

 住民票関係で出てくる書類の種類としては、ひとまず一通りの説明にはなっていると思います。戸籍関係の書類については、また別途まとめていきたい

と思います。最後までお読みいただきありがとうございました。次回はもっと早い更新を目指す・・・つもりです。


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